ペルシャ絨毯の染料について

希少な草木染め

ペルシャ絨毯の染料

ペルシャ絨毯の最大の魅力、それは色彩の美しさです。古来、遊牧民族はシルクロードに生息する植物や昆虫などから染料を採取し、並ぶもののない味わいを持つ色に絨毯を染め上げてきました。しかし19世紀に入ると、比較的簡単に染色できてしかも安価な化学染料が開発され、ペルシャの染色職人たちの間にも急速に普及しました。現在では、すべての糸を草木染めした絨毯は大変稀少です。

 

良質の化学染料もあるため一概には言い切れませんが、草木から採取した天然染料と比較すると、発色の美しさ、色のもちなどはやはり草木染めにはかないません。

草木染めの染料

ペルシャ絨毯の染料

ペルシャ絨毯の最大の魅力を支える、その美しい色。深みをたたえた柔らかな色合いは、素材に極めて自然になじむ天然染料から生み出されます。

天然染料の一覧

ロッグウッド【赤、紫、黄色】
豆科の植物で木質が堅く、染色力も強い。

 

コチニール【赤、紫】
貝殻虫の卵に含まれる色素。イランでは茜の根とともに古くから利用されてきた。

 

茜の根【赤、黄赤】
絨毯用として重用された茜の赤色。樹齢5〜7年のものが特に良い色を出す。

 

紅花【赤黄】
イラン各地で栽培されている植物で、その花弁は鮮やかな赤黄色を発色する。

 

アリザリン【薄黄色】
薄黄色の染料として最もポピュラー。種がまだ赤く開ききっていない花弁を切取り乾燥させて使用する。

 

黄色木材【黄色】

イラン各地に生育している木材で、木質が堅いほど染色力が強くなる。

 

ウコン【黄色】

香辛料としても有名。大量に採取でき、しかも安価なため多用される。

 

葡萄の葉【明るい黄色、黄褐色】

イラン全土が葡萄の栽培に適した土地であるため、容易に大量入手できることから多用される染料。

 

インディゴ【青】
青色の染色に適した植物の中で最も質が良く古くから利用されてきた。

 

飛燕草(ヒエンソウ)【黄】
明るい黄色で、ムラなく均等に染色できる。

 

ザクロ【赤みがかかった黄色】
外皮を乾燥させて染料にする。

 

くるみ【キャメルインディゴ】
色は、キャメルのみ。実の硬い殻を被う外皮を乾燥 させて染料にする。

色の持つ意味

【青】「天国の色」とされる。また、「真実」という意味も持つ。

【赤】「健康と喜び」を表す。

【ローズ・ピンク】「神の英知」を表す。

【オレンジ】「信仰心」と「愛国心」を表す。

【白】「悲しみ」と「平穏」を表す。

【緑】「不滅」を表し、予言者の上衣に使われる。